計画の概要

「あたま山計画」の目標は、 GRAPE-6 のホスト計算機となるべき高性能で大きな主記憶をもった PC クラスタを、 構成するということである。クラスタの規模としては、とりあえず 16 ノード程度の小規模なものである。

上の目標を実現するため、ノードの構成を以下のように決める。

CPU: AMD Athlon XP 1800+。これは牧野が Intel が嫌いだからというのが理由の一部でないわけではないが、大きな理由は牧野の使っているいくつかのプログラムが icc (Intel C++ コンパイラ) ではまともに動かないということである。だって g++ の2倍遅くなるんだもん。なんかオプションがわるいのかもしんないけどさ。

まあ、そのほかに RIMM だと絶望的に高いというのが Intel P4 を避ける理由ではある。 i845D を使えばという意見もあると思うけど、今のところメモリが沢山つくマザーボードはないみたいだし。

CPU ファン: ファンつきのが品切れだったのでなんか買わないといけない。ど ういうのを選ぶか良くわからないが、 Socket A 用でそこそこ大きくて安いのにする。

MB: Abit KG7。 GRAPE のホストとして考えた時には Dual にする意味はあまりないので、普通のを使えばいい。が、これまでのテストでは、実際上 AMD761 以外のチップセットで GRAPE-6 をつないでまともな性能が出たものがないので、選択枝は AMD761 を使ったものにかぎられる(テストしたのは KT266A と nForce 420D。 SiS 735 と ALi MaGiK1 は未テスト。ちなみにに AMD760MP はOK)。761 を使ったボードでは GA7DXR が定番だが、ここでは DIMM スロットが 4 個あって 512 MB Unbuffered DIMM が 4 枚挿せる Abit KG7 を使うことにした。少し安いしね。後、Abit らしく FSB が 1MHz ごとに BIOS から設定できるとか、電圧もBIOS から設定できるとかいうオタクな機能があるのも魅力。

メモリ: バルク 512MB DDR。今は高いのでとりあえず 1.5GB くらいづつ。

HDD: 九十九の通販で一番安いの。ディスクレスにするとかそういう難しいことは考えない。

NIC: 九十九の通販で一番安いの。Planex の Realtek 8139 がのったなんか。そのうちに Gigabit のハブが安くなったらそっちに移行するので、とりあえずなんかあればいい。

FDD: PC工房の通販で一番安いの。最初に OS いれたり、 BIOS をアップデートするには個別についてるほうが簡単。

VGA: PC工房の通販で一番安いの。 X とか動かすわけではないので、なんかあればいい。

ケース: ケースに入れるのは面倒なのでなしですます。「超手抜き」といって も単にこれだけ。ケースなしですますと、

というような問題はあるが、まあ、大した数じゃないしやってみましょ。利点 はなんといっても組み立てが速いということ。 CPU とヒートシンクをつければもうできたようなもの。

PC 切換器: 1:4 のをカスケードして、全部切換えられるようにする。結構コストがかかるが、これがないとあるとでは管理の手間が大きく違う。

電源: ケースを買わないので電源は買う必要がある。安い ATX で 250 か 300W のを買う。

小物: ケースを買わないので最低電源スイッチとリセットスイッチがいる。こ れらも通販で買える。


学生A: 手抜きって、結局単にケースにいれないってだけみたいですけど。

赤木: そうみたいね。

学生A: 何度もいうみたいですけど、それって宣伝するほどのことなんですか?

赤木: さあ、君はどう思うの?

学生A: えー、なんか、そんなの当たり前っていうか、大体みんなそうしてる んじゃないんですか?

赤木: 私もそう思ったのよ。でも、いろいろ捜してみたけどボードを裸で棚に ならべようってのはないみたいね。ちょっとそれに近いのは 青山プラスの System C と かかしら。これもでも一応専用ケースとか作ってるから、コストはどうかしらね。そんなのの他は大抵みんなちゃんとケースにいれてるわ。どうか するとケースが普通のミニタワーとかでなくて、19インチラックに入るサーバー 用のケースとか使ってたりするわ。あれってとっても高くて、箱だけで1台分の部品全部くらいかもっとするのよね。組み立ても大変だし。

学生A: えーと、よくわからないんですが、なぜそんなの高いのをわざわざ買うんですか?

赤木: どうしてかしら?まあ、主張としては、ほら、例えば東京なんかでは 空間の値段というのもばかにならないから、占有体積が大きいと高くつくって ことはあるかもしれないわね。 1U の箱だと 45mm x 500mm x 500mm くらいだ から 0.011 m3 くらいになるわね。普通のミニタワーだと 200x350x450 だから、体積は3倍近いわ。まあ、1U だと PCI カードとかがオ ンボードでないといけないとかいうことになるから、あんまり現実的じゃない ような気がするわ。普通に PCI カードをつけたいなら 4U になっちゃうから、 ミニタワーと同じね。 だから、

ということなら 1U サーバとかもいいんじゃないの?

学生A: なんとなく、「そういうのを買うのは研究費の無駄」といいたそうな感じがしますが、、、

赤木: あら、別にそういうわけじゃないわよ。お金があって人手が足りないな ら、計算機に 5 倍とられても 10 倍でもいいんじゃない?例えば 5 億円くら いで計算機を買うなら、 PC クラスタで動くプログラムがあるならベクトル並 列の機械とか共有メモリの機械とか分散共有メモリの機械とかを買うのより PC クラスタのほうが、 5 倍余計に払ったところでまだ得になるもの。1台 50 万 ふんだくられても 1000 台買えるんだから。 1000 台を自分で組み立てるって のはさすがにやらないでしょ?そうすると組み上がったものを納入してもらう しかないじゃない。それに、それくらいの台数だとミニタワーだと 30m3になるから、、、そうね、フィリングファクタを 0.35 くらい とすれば、、、あら、1 スパン(約 40 m2)の部屋にはいるのね。なんだ、大したことないじゃない。

学生A: ベクトル並列というと NEC、共有メモリだと Sun、分散共有メモリは SGI ですか?と、そんなことはどうでもいいですが、フィリングファクタ 0.35 で冷やすのは苦しいんじゃないですか。そもそもノードあたり 120W と したって 120 kW だから、ものすごい空調がいりますよ。空調だけで 5-600 万 かかるし。

赤木: あら、よく知ってるのね。

学生A: だって、2001年の夏頃に作者がぶつぶついってたじゃないですか。

赤木: あ、そうだったかしらね。確かに120 kW を 40 m2 に入れ るとして、どんな感じになるのかな、ちょっと計算してみてよ。例えば気温上 昇を 20 度だとして単位時間当りの空気量はどうなるの?

学生A: ええと、、、空気の比熱は 0.29 kcal/m3K と資料にはあ りますね。 1 kcal は 4.2kJ でよかったでしたっけ?とすると30kJ だから、 20 度 なら 5m3/sec ですね。エアコンの吹き出し口が 1m2 あったとしても 5m/s で吹かないといけないことになります ね。それは無理っていうか、ちょっとやですよね。それくらいになるとやっぱ り普通の計算機センターみたいに床下で空気を流すとかしないとだめじゃないですか?

赤木: そうね。普通のエアコンだと上から冷気がでるから、そのへんも厄介ね。 なんか部屋を大きく改造しない限り、1 スパンだとどうせ 50kW くらいかしらね。

学生A: でも 100 m2 の部屋を東京に5年借りても 5 億とかには全然ならないじゃないですか。お金を出しても絶対スペースを増やせないとかいう事情がなければあんまり関係ないということになりますね。

赤木: そうね。裸でカード並べてもミニタワーより悪くはならないしね。

学生A: 地震とか考えるとどうでしょう?

赤木: それはなかなか難しいところね。東京だし、地震のことを無視するわけ にはいかないわよね。でも、例えば 50 年に一度のことのために 2 倍高いも のを買うのも合理的じゃないでしょ。合理的というのを期待コストが最小と定 義するっていっても、じゃあ期待コストってどうやって計算するの?という話 になるだけよね。払うお金だけの話じゃなくて、こっちの手間とかも勘定にいれないといけないわけよ。

学生A: そうですね。いろいろ考えると、「PC クラスタならこれがベスト」と いうのが簡単に決まるわけじゃないみたいですね。

赤木: そうね。例えば、「何を買うかを考えるのに頭も時間も使いたくない」 というのだって立派な境界条件なわけよ。まあ、この条件には実際上の問題が あって、買う時にちゃんと考えないと結局後で使えないとかいろいろ時間と手間を使う羽目になるとかあるから。

学生A: で、作者のこれは本当に上手くいくんですかね?

赤木: まあ、やってみればいいんじゃないの?とにかくお金は大したことない みたいだから、最悪途中で放り出したっていいんだろうし。やってみなきゃわ かんないわよ。