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東大、単一で世界最速の天文研究向け計算機

 東京大学大学院理学系研究科の牧野淳一郎助教授らの研究グループは9日、単一の計算機としては世界最高速の32テラFLOPS(1テラFLOPSは毎秒1兆回の浮動小数点計算)を実現した天文シミュレーション用計算機「GRAPE−6」を完成したと発表した。銀河中心核でのブラックホール形成などの天文シミュレーション計算に取り組む。
 
 GRAPE−6は、銀河や星団を粒子にたとえて運動を追跡する。多数粒子の相互作用の現象をモデル化しており、工学などにも応用されている手法。材料の構造力学計算、原子ひとつひとつの運動を追跡する分子動力学法などにも活用できる。
 
 今回完成したシステムは、31ギガFLOPS(1ギガFLOPSは毎秒10億回の浮動小数点計算)の計算速度をもつ専用LSIを1024個並列で動作させることで高性能を実現。これまで世界最速だった米ローレンス・リバモア研究所の計算機「ASCIWhite」より約2.5倍も高速。
 
 また、調達コストはASCIWhiteが1億ドルと高価だったが、GRAPE−6は5億円に抑えた。天文シミュレーターに特化した専用計算機で、これまで時間がかかっていた天体間の重力の計算時間を短縮し、計算時間全体を縮め高いパフォーマンスを実現。天文学だけでなく科学や工学全般の発展に大きく貢献しそうだ。
 
 同研究は、日本学術研究会・未来開拓学術研究推進事業の一環として行ってきた「多粒子系むけ超並列計算機の開発」プロジェクトの成果。米プリンストン高等研究所などの研究機関と共同で開発を進めてきた。
 
 研究成果は10日、東大本郷キャンパス(東京都文京区)で開かれる国際シンポジウム「天体物理における粒子法によるスーパーコンピューティング」で発表する。
東京大学ホームページ
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