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1 はじめに:銀河密度波

銀河の渦状構造を銀河円盤の波動現象として理解しようとするのが 銀河の密度波理論である。 C.C.Lin と F.Shu はきつく巻いた渦状腕の局所理論(WKBJ近似)によって 密度波の分散関係を導いた。 その後、グローバルなモード解析、減衰や励起の機構の解析など様々な 理論的研究が行われたが、 コンピュータの発達とともに、 現実的な銀河の重力 N体 シミュレーションによる解析が盛んになった。

さらに、藤本光明やW.W.Roberts らに始まる銀河衝撃波理論が展開され、 渦状腕におけるガスの圧縮とそれによって引き起こされる 大域的星生成が観測される渦状腕の構造を良く説明することが示された。

しかし、密度波の物理過程については、未解決の問題も多く、 十分に解明されたとは言い難い。

GRAPEの出現などによって、 手軽に重力多体シミュレーションができるようになったので、 今後詳しい数値実験によって密度波の物理過程の解明が期待される。

ここでは、GRAPEを用いて行ったシミュレーションの うちの一つの例を紹介する。

銀河の渦状腕は2本(m=2)のものが目立つが、それ以上の 本数の腕を持つ銀河(multiple arms)が多く見られる。 そこで、GRAPEを用いて円盤銀河のシミュレーションを行い、 2本と3本の渦状腕を取り出して密度波理論と比較した。 また、その意義についても述べたい。



Jun Makino
Wed Mar 17 17:53:00 JST 1999