(1) 球状星団で観測される表面組成の異常、特に、Mg の減少、Alの表面への輸送は、赤色巨星内部での回転等に伴う物質混合でヘリウム中心核へ水素が浸透し、水素殻フラッシュを引き起こすというモデルによって解釈することができる。
現行の陽子捕獲率 (例えば、Caughlan & Fowler 1988) が、大幅に増加改定されない限り、この水素殻フラッシュモデルは、赤色巨星内部で
Mg を燃やす唯一の方法である。
(2) 提案したフラッシュによる deep mixing のモデルは、必然的に、有為なヘリウムの表面組成の増加をもたらす。 これは、球状星団の水平分枝の形状、年齢測定に影響し、今後、これら効果の検討が必要である。
(3) 組成異常は、金属量に依存するが、それだけではなく、その他の力学的な性質によっても異なっている。 したがって、組成異常は、星団の力学的な性質との関連を通して、恒星進化の恒星系の進化の相互作用について探査の手段となると期待される。