簡単のために銀河団のポテンシャルの中をradial に落下する銀河について考 える。3種類の銀河団の質量分布
である。ここで G は重力定数、 は銀河団中心から r以
内での銀河団の質量、R は銀河の半径である。この加速により、分子雲が受
ける圧力(特に kinetic pressure)は上昇する。その結果星形成率も上昇す
るが、分子ガスが消費されていくので、ピークになるのは銀河が銀河団の中心
に達する前である(Figure 1)。従ってこの銀河は銀河団の中心部を通過してい
るときのみ青くなる。
=87mm gl_gh.eps
Figure 1: Star formation rates for a galaxy affected by the tidal acceleration from the cluster (GAL-CL) and by galaxy harassment (GAL-GAL).
銀河団中の銀河は ですれ違い、このとき銀
河は互いに潮汐力を受ける。特に連続的にすれ違う場合は(Galaxy
Harassment)、銀河の構造が変わり、銀河の中心に向かってガスが流れ込む
(Moore et al. 1996)。Lake et al. (1998) の計算結果から圧力変化を調べ
て星形成率を求めると、ガスの流入の効果により星形成率が大きく上昇するこ
とが分かった(Figure 1)。銀河団中の少数のスターバースト銀河はこの効果に
よるものかもしれない。
銀河団ガスからのRam-pressureは
である。これによる分子雲の圧縮の効果(星形成率の上昇)とram-pressure strippingの効果(星形成率の低下)の両方を考えた。 計算の結果をFigure 2から4に示す。
=87mm sfr8_pr.eps
Figure 2: The normalized star formation rate of a radially infalling galaxy affected by ram-pressure as a function of cluster radius.
=87mm mag_pr.eps
Figure 3: The evolution of color of a radially infalling disk
galaxy affected by ram-pressure (GAL-ICM). The time when the
galaxy reaches the cluster center is referred as .
The color of stellar system which was simultaneously born at t=-10
Gyr with Salpeter mass function and solar metal abundance is shown
for comparison (PE).
Figure 2の横軸は銀河団の中心からの半径である。 Figure 2によると、銀河団の中心に向かって落下する銀河の星形成率は、最初 は初期値の二倍ぐらいまで増加する。これはram-pressureによる圧縮の効果で ある。その後さらに銀河団の中心に近づくにつれ星形成率は急激に低下する。 これはram-pressure strippingの効果により、銀河の中の星間ガスの量が急速 に減少したためである。
Figure 3はFigure 2の結果に基づいて計算した銀河のカラーの変化である。 ram-pressureによる分子雲の圧縮による星形成率の上昇は銀河のカラーをほと んど変えないが、ram-pressure strippingに伴う星形成率の低下は、銀河のカ ラーを有意に赤くする。比較のために楕円銀河的なpassive evolutionをする 天体のカラーを示した。時間と共に落下する円盤銀河のカラーは、楕円銀河の カラーに近づいていく。
Figure 4はバルジとディスクについて星形成率を別々に計算をして求めた銀河 のバルジ/ディスクの光度比の時間変化である。ディスクの光度が ram-pressure strippingが起きることにより急激に低下するので、バルジ/ディ スクの光度比は大きくなっていく。従って銀河団の中心に向かって落下する円 盤銀河のカラー、形態は次第にS0銀河的になる。
=87mm BtoD.eps
Figure 4: The evolution of bulge to disk ratio of a radially
infalling disk galaxy affected by ram-pressure. The time when the
galaxy reaches the cluster center is referred as