まず、Taga & Iye (1998)で調べた、中心にブラックホールを持つ流体円盤の 線形安定性の結果を以下に示す。ここでは、流体円盤をKuzmin disk、また ブラックホールの重力ポテンシャルにstandard softeningを用いた。すなわち、 円盤の面密度及び自己重力ポテンシャル、ブラックホールによる重力ポテンシャルは
となる。は円盤の質量及び特徴的半径、
はブラックホールの
質量及びsoftening parameterである。また、円盤の内部圧力はpolytropic relation
で与えられるとした。この時、円盤の回転曲線は、
となる。hは円盤の温度を表すパラメータであり、この値が大きいほど温度が高く
円盤の回転速度は遅くなる。このような円盤に摂動を
与えたときの不安定成長率を示したものが図1である。ここでは、
とし、
および
の場合について
解析を行った。
の場合には「ブラックホール」のsoftening parameter
が大きいため、その重力場が弱くなり、円盤の振舞いにほとんど関係がなくなると
考えてよい。また、m=1のモードについては、
中心のブラックホールを人工的に固定した場合と自由に動ける場合との両方に
ついて考えた。m=2のモードにおいては、摂動の空間的対称性のため、ブラック
ホールは円盤の中心から動かない。詳しい解析の方法についてはTaga & Iye (1998)
を参照していただきたい。この図から、以下のことが読み取れる。
図 1: m=1,2の摂動に対する円盤の不安定成長率。横軸は円盤の内部温度。
○... m=1かつブラックホールが自由に動ける。×... m=1かつブラック
ホールが中心に固定されている。□... m=2。