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3 モデル化と解析

現実のジターリングは大リングが円形であり、また小リングが複数あってその間 の干渉があるなど非常に複雑なシステムであるので、単純化のために大リング を一本のまっすぐで無限に長い棒で置き換え、小リングも一つだけの場合を考 える。この時、運動は、棒をある一定の速度で引き上げると小リングが同じと ころで留まって回転を続けるというものになる。

ここで座標変換をして棒に固定した座標系で考えると、小リングは一定の速度 で下に落ちていくということになる。

小リングのエネルギー収支を考えてみる。入力は位置エネルギーであり、出力 は空気抵抗等による散逸である。いま、単純化のために空気抵抗以外の散逸を すべて無視するとすれば、エネルギー収支は以下の式で表される。

 

ここで、 は空気抵抗に関する比例係数(レイノルズ数はそこそこ大き いとして、ストークスの公式ではなくベルヌイの式を使った)であり、 は回転の角速度である。 m は小リングの質量、 は実効的な 重力加速度、 vはリングが棒の上を移動する速度である。

ここで、実効的な重力加速度は

によって与えられるものとする。ここで は棒が重力加速度の方向と なす角度である。実際には棒を斜めにすると、重力が棒に垂直な方向の成分も もつことになるが、その影響は小さいものと仮定する。

さて、式1だけでは未知数が2つに対して式が一つだけで閉じな い。閉じさせるには v の関係をもう一つ与える必要がある。 これを正攻法で与えるには実際の定常運動がどのようなものかを運動方程式を解いて与 える必要があるが、それは面倒なので以下のように仮定しよう

 

ここで は比例定数である。この仮定の物理的な意味は、小リングは 棒の上を「転がり落ちて」いて、転がる角度は回転による遠心力と重力の比 によって決まるというものである。依存性については線形を仮定するのがもっとも自然で あろう。

さて、これで式が閉じるので、 v を求めると、

 

となる。

つまり、 , v のどちらも 、従って に比例するということになる。図 2 と正規化した回転速度の関係を示す。

  
図 2: リングの角度と回転速度の関係



Jun Makino
Fri Aug 28 20:51:50 JST 1998